一般社団法人越谷市歯科医師会

越谷市歯科医師会の取り組み

口腔がん検診

死亡原因の第一位の癌は現在も我々の脅威である。中でも舌や口腔粘膜、歯肉に発症する「口腔がん」の発生が近年増加傾向にある。それに伴い「口腔がん検診」を実施しようとする歯科医師会が増えている。口腔がんの発生頻度は全身に発生する癌の1~5%程度で、「問診、視診、触診」で発見可能な「がん検診」である。

そこで、越谷市歯科医師会は平成23年6月の歯科健康フェアで「口腔がん検診」を行ったところ、100名の定員に約700名の応募者があり、市民の関心の高さが明らかになった。その結果、口蓋悪性腫瘍1名、前がん病変である白板症2名を含め9名を二次医療機関へ紹介する事ができた。他の地区で行われた「集団口腔がん検診」データと比較しても十分な結果を得られた。

この様な「集団口腔がん検診」は各歯科医師会で年一回、或いは隔年で行われている例はあるが、我々が目指したものは越谷市歯科医師会会員の個別の歯科医院で行う「個別口腔がん検診」であり、日常の歯科診療の中で「口腔がん」を発見する事である。この方式は全国的にみても極めて稀で、注目されている。越谷市との長期の準備期間を経て平成24年5月より埼玉県の歯科医師会では始めて事業化に成功することができた。(毎年5月より翌年2月まで越谷市在住40歳以上に実施)検診結果は平成24年5月から25年2月15日までの結果である。(集計平成25年3月28日現在)

二次医療機関での検査結果待ちもあるが、総受診者2297名、舌癌2名、歯肉癌1名、白板症15名、扁平苔癬3名、など前癌病変を含め高率で発見され、初年度としては十分な結果を得ることができた。我々が事業化に成功したこの「口腔がん検診」が全国的にも「越谷方式」として認知度を高め、更なる進展をみる事を期待したい。

越谷市歯科医師会と地域包括支援センターとの協力

地域包括支援センターは高齢者の総合相談窓口です。越谷市から委託業務を受けており、市内11地区に地域包括支援センターがあります。保健師または看護師、社会福祉士、主任ケアマネジャーが配置されています。

越谷市歯科医師会は、地域包括支援センターと連携をとり、ご高齢の皆さまがより暮らしやすい地域にするためのネットワークづくりに積極的に参加しています。歯科医院に訪れる高齢者やご家族など、支援を必要とする方を早く発見して必要な支援につなげていきます。医療、介護、福祉に関する相談や心配ごと、生活に関することなどありましたらお知らせください。

例えば身近にこんな方はいらっしゃいませんか?
「いつもと様子が違う」
「何か困っているみたい」
「ひとり暮らしが不安」
支援を必要とする方を早く発見することが、生活の支障や問題の深刻化を予防する大きな力となります。些細なことでもご相談ください。担当の地域包括支援センターをご紹介いたします。

越谷市立病院における口腔ケア

越谷市立病院では3年前から歯科医師会の口腔ケア委員会により、毎月1回各病棟の看護師へベッドサイドでの口腔ケアの指導をしてきました。これは看護師が病棟での患者さんへの口腔ケアを十分に実施できるようにするためです。当初は脳神経外科が中心でしたが最近ではほぼ全科からの指導要請依頼があります。

口腔ケアとは入院中の重度の脳血管障害や呼吸器や消化器疾患で口から食べられない患者さんの口の管理をしっかりすることで誤嚥性肺炎の予防を行うとともに、食べるという本来の機能回復を図る目的で行うものです。これにより入院中の発熱回数減少や入院期間の短縮、口から食べる機能回復することもできるようになってきます。

現在摂食嚥下障害専任看護師と言語聴覚士も加わり、さらなる口腔ケアの充実を図って、委員会では院内での新人研修や多職種を対象にしたスキルアップ研修も行ってきました。

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